大正大学・地域創生学部の地方実習を振り返って  (後編)

著者
地域構想研究所 助教
清水麻帆

前回は奄美実習の振り返りとして、座学や体験学習、そして子どもたちをはじめとした地域の人々との交流における学生の活動の様子をお伝えしました。今回は、そうした実習活動を通じて、学生が彼らなりに地域に貢献できることを考えて行った、調査、地域活動、そして成果物を以下でご報告します。

<リサーチ>アンケート調査

実習を通じて学生が考えた一つ目の地域貢献は、奄美の自然環境や世界自然遺産登録に対する奄美の子どもたち(中学生・高校生)の意識を調査し、地域の自治体にその調査結果を報告・還元することを考えました。奄美市役所をはじめとした奄美大島の市町村の方々にご協力して頂き、1,203人の子どもたちにアンケート調査を実施し、回答してもらいました。その結果は学生たちが成果報告会で発表をし、地元の方にとっても興味深い結果のようでした。このアンケートは私の方でも集計を行い、それをご協力頂きました自治体へデータとしてお渡ししました。

<地域イベント>お手伝いと大正大学ブース展示の企画・運営

二つ目は、上記のアンケート調査結果とこれまでの学習を通して、地元の子どもたちにも自然環境の素晴らしさを認識してもらいたいということでした。そこで、2018年10月28日に開催された音楽を通じて奄美の自然・文化の魅力を島内外に発信する事業のイベントである『「環境文化」祭「唄島ふぇすてぃばるっち。」』のお手伝いをしつつ、ご提供頂きました大正大学・地域創生学部のブースで地元の子どもたちに自然環境への関心を持ってもらうための企画を行いました(写真①②③④を参照)。この事業は、奄美大島の5市町村で結成されている奄美大島自然保護協議会とあまみFMが主催しており、これまでの行政と非営利団体が協働で開催したイベントの中で一番大きいものでした。

学生は、このイベントブースで、子どもたちに折り紙を通じて自然環境に興味・関心を持ってもらうための企画を考えました。その内容は、希少動物のイシカワガエルやアマミノクロウサギ、アカショウビンなどを折り紙で一緒に折ることで奄美の希少動物を学ぶという趣旨のものでした。大正大学生企画のブースは、子どもたちで溢れかえり、お昼から始めて3、4時間ほどで200枚あった折り紙が無くなるほど盛況でした。また、ご父兄の方々にもご好評いただいたようで、学生にお礼を言って帰っていくご父兄を多く見かけました。また、ここでは奄美をPRするための学生が作成したポスターも展示し、大人の方は足止めてそれに見入っていました。以下の写真は、学生が少しでもお世話になった地域の人びとへ恩返しをしようと積極的にイベントのお手伝いや地域に貢献しようと企画運営をしている様子のものです(写真①②③④を参照)。

 

 

<成果物>奄美PRホームページ

学生が実習を通じて考えた三つ目の地域貢献とは、島外の人に奄美の自然環境のすばらしさや人の温かさをもっと知ってもらうということでした。そこで、ポスター、自然環境と観光PRのための2種類のバーチャル観光動画と、紙媒体(希少動物の説明付き)とウェブ上(場所の説明付き)の2種類の世界自然遺産の資源マップを作成しました。さらに、希少動植物のシャツのデザインも行いました。これらの成果物は、以下のQRコードにあるホームページで、すべての成果物がご覧になれます。

まず、ポスターは、学生が実際に自分達で撮影した画像を使用し、各自治体のもの、世界自然遺産や自然もの、自然環境保護活動のもの、観光のものをテーマとして、彼らが感じたままに作成したものです。また、バーチャル動画は、その画面の右下をクリックすると再生ボタンがあり、それをさらにクリックすると自動的にスライドが動き、観光や自然などのPR動画が見られるようになっています。そして、世界自然遺産の紙媒体の資源マップは、マップ上のQRコードを読み込むとその写真の場所の説明を読むことができます。ウェブ上での資源マップの方もピンをクリックするとその場所の写真と説明が見れるようになっています。これらの写真は学生自身が撮ったものと環境省提供のもので作成され、なるべく自分達の写真を使用し、見やすさや使いやすさなどを考えながら、自分達だけにしか作れないものにしようとかなり奮闘していました。以下は紙媒体の資源マップと希少動植物の紹介や課題を要約したものです。この紙媒体は地域の方々の勉強会に活用して頂きました。

 

紙媒体の世界自然遺産の資源マップ

 

成果物公開QR(成果物公開URL:https://tomoru0113.wixsite.com/jixtukenn

学生は、これらの成果物とともに40日間の実習での学習や体験をまとめ、実習最終日の報告会で自分達の考えた奄美モデルを各自治体の方々や地域の人びとに発表しました(写真⑤⑥を参照)。報告会には50人以上の地域の方々に来ていただき、フロアーからも様々なご質問やご意見を頂き、それに真摯に答えている学生の姿は奄美に来た初より、ひとまわり成長したように見えました。

<奄美実習>振り返り

今回の実習を通して、地域に住みながら地域のことを学習し、さまざまな地域の人と交流することは、地域の課題や現状に対しより深い理解につながるだけではなく、地域に貢献する気持ちにもつながっていることが成果物作成に取り組んでいる様子を見ていてもわかりました。40日間という長期にわたる実習の意義や学生の地域への関わり方に関する重要な知見が得られました。また、限られた40日間という期間ですが、まだまだ地域と共にできたことがあったかもしれません。今後の課題として、学生と共にさらに実習を通じて地域創生に貢献できるよう現地の自治体や地域の方々と協力し合い取り組んでいきたいと思っています。奄美実習にご協力頂きました奄美市、龍郷町、宇検村、大和村、大島支庁そして環境省の那覇事務所の方々、他レクチャー陣、支局員の方々、滞在先の奄美看護学校の方々、そして暖かく迎えてくださった地域の皆様、誠にありがとうございました。

2019.06.03