地域ごとに特徴のある技能実習生の職種

著者
大正大学地域構想研究所 教授
塚崎裕子

昨年12月に改正入管法が成立し、今年4月には人手不足に対応するための新たな受入れ制度が動き出すこととなった。
本稿では、前回に引き続き、外国人と我が国の今後を考える一つの材料として、地方という軸から日本に住む外国人の状況をみる。

技能実習の対象職種と職種別移行者数の推移

前回みたように、地方圏での在留外国人の急増は、主に技能実習生の地方圏における増加によるものである。技能実習の対象となる技能等については、公的に評価ができ、かつ、国際貢献という制度目的から技能実習生送出し国のニーズにも合致するものが対象となっている。2010年の制度改正により、在留資格「研修」が「技能実習1号」に、在留資格「特定活動(技能実習)」が「技能実習2号」となった。技能実習2号の対象職種として、昨年12月28日現在、国家試験である技能検定基礎級の評価制度が整備されている55職種と、厚生労働省人材開発統括官が認定した公的な評価システムが整備されている25職種の合計80職種が定められている。

職種別の技能実習2号への移行者数をみると、水産加工やそう菜製造等の食品製造関係職種がここ2年急増しており、2017年は最多となっている。2017年に2番目に多かったのは、機械加工や電子機器組み立て等の機械・金属関係職種、3番目はとびや鉄筋施工等の建設関係職種となっている。これら3分野の職種で2017年の技能実習2号移行者全体の54%を占めている。 (図1)

(資料出所)法務省データ
(注)その他の職種については省略

技能実習2号移行申請者の職種別地域分布

次に、国際研修協力機構(JITCO)が公表している都道府県・職種別技能実習2号移行申請者の状況の直近のデータを用いて、技能実習生の職種と地域の関係をみる。

全体では、技能実習2号移行申請者数は愛知県、広島県、茨城県が上位3県となっている。農業関係職種では茨城県、漁業関係職種では広島県が他県より突出して多く、それぞれ農業関係職種、漁業関係職種の22%、38%を占めている。建設関係職種では、首都圏の都県が上位を占め、首都圏の割合は37%となっている。製造業関係職種をみると、全体で1位の愛知県が、機械・金属関係職種では1位、食料品製造関係職種及び繊維・衣服関係職種では2位といずれも上位に入っており、特に機械・金属関係職種では16%を占めている。食料品製造関係職種では、愛知県に加え、農業で3位、4位の北海道、千葉県が多い。繊維・衣服関係職種では、愛知県に加え、岐阜県、岡山県が多い。 (表1)

表1 技能実習2号移行申請者数の職種別上位5県 (2016年度)

(資料出所) 国際研修協力機構のデータから筆者作成
(注)その他の職種については省略

技能実習2号への移行申請者数の分布を「三大都市圏(注1)」、「三大都市圏以外で政令指定都市がある道県(注2)」、「その他の県」に分けてみると、全体では、42%が「三大都市圏」、22%が「三大都市圏以外で政令指定都市がある道県」、36%が「その他の県」となっている。職種ごとの地域分布で特徴的な点を述べると、農業関係職種の6割近く、繊維・衣服関係職種の半数近くを「その他の県」が占めていること、漁業関係職種の半数以上を「三大都市圏以外で政令指定都市がある道県」が占めていること、建設関係職種の6割を「三大都市圏」が占めていることを挙げることができる。(図2)
以上から、技能実習生の職種の地域分布は、各地域の産業構造や労働市場の状況等を反映して、地域ごとに異なる特徴があることがわかる。

(注1)三大都市圏は、首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)、名古屋圏(愛知県、岐阜県、三重県)、大阪圏(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県)とした。
(注2)三大都市圏以外で政令指定都市のある道県は、北海道、宮城県、新潟県、静岡県、岡山県、広島県、福岡県、熊本県。

(資料出所) 国際研修協力機構のデータから筆者作成
(注)その他の職種については省略

2019.02.14