「プロジェクトつなぐ」の第5回の企業研究会を開催しました

著者
大正大学地域構想研究所 教授
塚崎裕子

平成30年7月25日(水)、地域構想研究所では、地域創生にご関心のある企業にお集まりいただき、「企業と地方自治体による地域創生の可能性についての共創研究-新しい暮らし方・働き方を求めてー」(通称「プロジェクトつなぐ」)の第5回の企業研究会を開催しました。

研究所の研究事業の一つである「プロジェクトつなぐ」では、企業と当研究所が連携している地方自治体が、企業と地方自治体の連携協働による地域創生の可能性等について研究する場を設けるとともに、個別企業と個別地方自治体の連携協働による地域創生の取組の社会実装を目指しています。

南牧村の森林・空き家の活用について

まず群馬県南牧村村長の長谷川氏から南牧村の森林の活用と空き家の活用についてお話をしていただきました。

初めに、南牧村は蒟蒻を農業の産物として初めて栽培し、蒟蒻の生産で栄えたが、平地で蒟蒻ができるようになると農業収入が激減したこと、果樹や酪農を試みたが機械が入らない山間地であること等からうまくいかなかったこと、高齢化率は国勢調査3期連続全国1位であり、人口問題で苦戦を強いられていることなど、紹介がありました。

次に、南牧村の91%を占める山林を活用するため、①CLTによる中高層階ビルや木造建築の推進、②間伐材のバイオマス資源としての活用、③低炭素社会実現のための森林の整備によるカーボンオフセット等の取り組みを議員連盟、経済団体、企業などとも協力しながら進めていること、森林の活用をめぐっては、高い輸送コスト、森林所有者の高齢化など様々な課題があることについてお話がありました。次に空き家の活用について、最近は南牧村への移住希望者が若者を中心に増えているが、そうした移住希望者に対して、古民家を400~500万かけて改修し提供していること、今後は空き家の中でも優良物件について薪でご飯を炊き風呂を沸かすような宿泊施設やシェアハウスとして整備していきたいと考えていること、企業に南牧村の空き家を山の家として利用してもらうなど企業との連携・協力の下で空き家活用を推進できないか考えていること等について紹介がありました。

群馬県南牧村村長の長谷川氏

ビックカメラと連携した石狩フォトコンテストについて

次に石狩市の観光課観光担当課長の板谷氏から、開業したばかりの道の駅「あいろーど厚田」や近隣4市町との連携下で行っている周遊観光等について説明があった後、「プロジェクトつなぐ」の社会実装第一号となったビックカメラと連携した石狩フォトコンテストについて報告がありました。①合併により南北80Kmに広がった石狩市北部の厚田区、浜益区を中心とした地域の周遊促進と、観光PRなどに必要な魅力的な写真素材の蓄積を目的として開催したこと、②地域の商工会議所、農協、漁協の他、地元の写真クラブなど市民団体とも連携し地域を巻き込みながら事業を展開していること、③ビックカメラと石狩市のタイアップの実現により、ビックカメラにとっては製品への新たな需要喚起につながり、石狩市にとっては写真に関するノウハウを得たり、応募者になり得る人にアプローチできたこと、④具体的な連携内容としては、ビックカメラ賞の設定、ビックカメラ店舗でのポスター・チラシの設置、ビックカメラSNSでの情報発信などがあること等について紹介がありました。最後に、石狩市観光センターを核に市民参加型の観光客への案内機能や受け入れ体制を強化していき、「観光まちづくり」を今後さらに進めていきたいとの話がありました。

石狩市観光課観光担当課長の板谷氏

人生100年時代の働き方について

最後に地域構想研究所の金子順一より、「人生100年時代の働き方―長期雇用で働く社員のために」と題して講演がありました。人生100年時代の働き方、暮らし方、老後資金など、長い定年後をいかに過ごすかが多くの人にとって大きな関心事となっていること、大企業を中心に長期雇用慣行は現在でも人事管理の中核として機能しており、「一定年齢への到達というきわめて簡明な要件で雇用が終了できる」定年制は今後も維持されると見込まれること、そうした中で自律的なキャリア形成重視に舵を切っていかないと優秀な人材が確保できなくなっていること等、現在の状況について説明がありました。当研究所の昨年実施した調査の結果から、企業支援があれば地方移住したい又は検討したいとする都市企業に勤務する正社員は4割に上ることがわかったところであり、企業が50代以降の社員のセカンドキャリア支援として、雇用関係を継続しながらテレワーク等を活用して地方へのお試し移住を支援することで、社員の定年後の地方での再就職、起業、就農、地域活動等、活躍の道が開けるのではないかと考えており、こうした移住に関するモデル事業を具体化するため、本プロジェクトの下で研究パートナーとなってくれる企業や自治体を募っている旨の話がありました。

大正大学地域構想研究所教授 金子順一

 

南牧村、石狩市、研究所からの話の後、ご参加いただいた企業から両自治体に対して、若者の移住、村議会の現状、冬場の観光などについての詳細なご質問があり、それに対してご回答をいただきました。その後、参加者同士の意見交換や情報交換も活発に行われ、盛況のうちに研究会を終えることができました。

2018.08.13