「プロジェクトつなぐ」の第7回企業研究会を開催しました

著者

大正大学地域構想研究所 教授

塚崎裕子

令和元年8月27日(火)、地域構想研究所では、地域創生にご関心のある企業にお集まりいただき、「企業と地方自治体による地域創生の可能性についての共創研究-新たな暮らし方・働き方を求めてー」(通称「プロジェクトつなぐ」)の第7回の企業研究会を開催しました。

研究所の研究事業の一つである「プロジェクトつなぐ」では、研究所が首都圏企業と当研究所が連携している地方自治体をつなぎ、企業と地方自治体との連携協働による地域創生の可能性について研究するとともに、研究の中から企業と地方自治体との連携協働による地域創生の取組を社会実装することを目指しています。

淡路市の現状・課題、企業との連携の可能性等について―淡路市の企業誘致と移住定住の取り組み

まず、淡路市企画情報部次長兼企業誘致推進課長の的崎氏より、淡路市の企業誘致のお取組について、①市の人口が年平均約500人ずつ減り続けており、65歳以上の人口が全体の約36%を占めるなど、少子高齢化が深刻な問題になっている中、淡路市は企業誘致に力を入れ推進していること、②企業誘致候補地や利活用が望まれる遊休施設としては、阪神間と近接した淡路市夢舞台サスティナブルパーク、大阪ベイエリアの中で唯一開発可能な広大な土地であるという大きなポテンシャルを有する津名地区産業用地、海や山など豊かな自然に位置する学校施設4校があること、③大阪から本社ごと移ってきて成長を続け雇用創出にも貢献し、地域創生のリーディングケースとなっているプライミクス(株)を始め、これまで市内29社、市外22社の企業誘致の実績があること、④阪神間と近接したロケーションや豊かな自然といった淡路市の魅力を発信し、活かしながら企業誘致策を進め、市を活性化していきたいと考えていること、⑤有効求人倍率が高く、特にホテル、介護等の分野で人材確保に苦戦しているが、島内高卒就職者の島内就職の促進、UIJターン等の促進、外国人技能実習生の活用、兵庫労働局との雇用協定締結など様々な施策により人材確保策を講じていることなどについてお話がありました。

 

次に、淡路市企画情報部次長兼まちづくり政策課長の片平氏より、①淡路市総合計画ではキャッチフレーズとして「いつかきっと帰りたくなる街づくり」を掲げ、一つ目に、島にいる市民が快適で安全安心に住める街、二つ目に、島外で生活している人たちがいつかきっと帰りたくなる街、最後に、淡路島、淡路市を訪れた人達が住んでみたいと思う街の3つの基本理念に沿って施策を進めており、移住定住促進策もその一環であること、②淡路市の課題として、市内の二次交通が不便であり、駐車場のキャパシティが小さく、交通渋滞しやすいといった課題があり、コミュニティバスの運行などの取組をしているが、根本的な解決に至っていないこと、③淡路市は、平成28年度から移住定住促進事業を不動産会社の集まりであるNPOに外部委託し、バスツアーや子育て体験ツアー、公営住宅を活用した「暮らし体験住宅」の整備、東京や大阪での移住相談等を続けてきて、平成30年度には40名が淡路市に移住するという大きな成果を生んだこと等について、ご紹介がありました。

 

多様化するシルバー人材センターの就業事業について

地域構想研究所教授で全国シルバー人材センター事業協会会長の金子氏より、①企業による雇用確保を65歳から70歳に引き上げるという新たな政府方針が打ち出され、60歳後半層の雇用就業対応など企業に求められる責任が重くなっている時だからこそ、地域での高齢者の就労の選択肢としてシルバー人材センターを知ってもらいたいと考えていること、②シルバー人材センターは、8割以上の市区町村に設置され、71万人以上の会員がいるが、会員数は平成21年度をピークに減少傾向にあり、会員拡大のため、主婦層など女性を対象にした入会促進、企業への働きかけの強化、魅力ある就業機会の提供などに取り組んでいること、 ③シルバー人材センターの就業分野は、従前より拡大し、介護予防など「同世代を支える」仕事、放課後児童クラブなど「次世代を支える」仕事、空き家・空地管理など「地域社会を支える」仕事、農業支援など「人手不足企業への派遣」、シルバー農園など「センターによる起業」など、様々な仕事にウィングが広がっていること、④プリンターのメンテナンスや備品交換などをリコージャパンと協業している例や、ラストワンマイルの配送と高齢者の安否確認を佐川急便や北九州市と協業している例など、企業との協業事例も出てきていること、⑤シルバー人材センターに対する仕事の発注、協業は、人手不足への対応や自社の社員の働き方改革にも貢献し得るし、企業イメージや企業価値の向上、SDGsの実践につながり得ること、⑥企業の雇用義務拡大が見込まれる中、退職社員の活躍の場として注目してほしいことなどについて、お話がありました。

 

淡路市や研究所からの話の後、ご参加いただいた企業等から、淡路市の産業の状況、移住者の特徴、シルバー人材センターの独自事業などについてのご質問があり、それに対してご回答をいただきました。その後、参加者同士の意見交換や情報交換も活発に行われ、盛況のうちに研究会を終えることができました。

2019.09.17