南方熊楠生誕150周年記念シンポジウムを開催しました

2017年6月10日、大正大学で「南方熊楠と熊野の自然:伝説からエコロジストとしての実像へ」と題した、南方熊楠生誕150周年を記念するシンポジウムが、百数十余名の参加者のもと開催されました(主催:大正大学地域構想研究所、BIOCITY、逞い文化を創る会、後援:和歌山県、田辺市、南方熊楠顕彰会)。

南方熊楠は博物学、植物学、民俗学、生態学など多様な分野の仕事をしたことで知られています。また、学問だけの世界におさまることなく、神社合祀反対運動のように、実際の社会への働きかけも熱心に行いました。こうした中で、まず第一部の基調講演では、文化功労者で東京大学名誉教授の岩槻邦男先生から、ノンプロフェッショナルナチュラリストや自然保護活動の先駆者としての南方熊楠について、特に、日本の植物学の歴史の流れの中での位置づけの観点からご講演がありました。

続く第二部では、そこから少し話題を広げ「南方熊楠と世界遺産 熊野の自然」という全体テーマでパネルディスカッションが大正大学地域構想研究所古田尚也教授の司会のもと進められました。最初に、和歌山県田辺市の真砂充敏市長から、南方熊楠が守り、その後世界遺産に登録された、熊野古道とはどういうものかということについてご紹介がありました。次に、南方熊楠顕彰会学術部長の田村義也先生から熊楠の取り組んだ神社合祀の反対運動やコロジー論の詳しい紹介がありました。続いて、大正大学文学部教授の寺田喜朗先生から、そのように熊楠が進めた神社合祀反対運動が直面した課題に関する最新の研究成果や屋久島の事例などが紹介されました。さらに、東京大学教授で日本イコモス国内委員会委員長を務める西村幸夫先生からは、熊野の世界遺産における文化と自然の側面の密接な関係について、ユネスコなどの国際的な議論の紹介がありました。このほかにも、こうして熊楠の努力によって残された熊野の自然や文化的遺産をどのように受け継ぎ、活用していくべきか等について、パネリストから積極的な示唆に富む発言が数多くありました。


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パネルディスカッションの様子


最後に、熊楠の思想や活動は150年経った現在においても十分に刺激的たりうる存在であり、かつ未だに学ぶことが多いこと、また、熊楠を出発点として、今日の話のように世界遺産、文化、自然、地方創生など様々な現代的なテーマがつながることや多分野の専門家が集まり議論することで熊楠に対する理解が一層深まることから、こうした機会を今後とも設けていくことの重要性などが確認され閉会となりました。

2017.06.12